ヒラメは神経締めすると死後硬直を促進する可能性がある!?

多くの魚は神経締めすることで死後硬直を遅らせることができます。そうすれば腐敗進行のスパン全体も遅らせることができるので、じっくり長期熟成できるのでみんな神経締めをしています。

じゃあヒラメは?っていうとちょっと特殊で、神経締めすると死後硬直が早くなることがあります。「でもそれは些細なこと」だという話をここではします。

ヒラメは神経締めしたら死後硬直が早まることがある

たぶん神経締めとか勉強してる人はyoutubeで津本さんの動画とか見たことがあるかもしれません。

この動画だと、血抜き+神経も抜いています。通常なら、神経を物理的に抜くというのは体内で神経を潰す神経締めと同じです。(というかそれ以上の効果が得られる)

でも近畿大学農学部によれば、死後硬直が促進されることがあるといいます。

しかし魚とは不思議なもので、コイは脊髄破壊をしなくても筋肉は痙攣しません。ヒラメにいたっては脊髄を壊すことで逆に死後硬直が促進されてしまうことがあります。

近畿大学農学部 水産学科 水産利用学研究室

ただし、促進されない(やってもやらなくても一緒)こともあるのか、或いはちゃんと死後硬直を遅延できることもあるのかについての言及はありません。

じゃあ神経締めしたらダメなのか?

それで以前、この動画をきっかけにして津本さんご本人にFacebookでヒラメの神経締めについて訪ねたことがあるんです。「神経締めで死後硬直が早くなるなら、しないほうがいいんじゃないの?」って思ったからです。
やりとりを紹介しますね。

私:以前調べた際、ヒラメは神経抜きすると死後硬直が早まる場合があるという情報を見かけました。
(近大農学部:http://suisanriyouken.sakura.ne.jp/riyo/howto/sashimi.htm)これは経験として体感しますか?もしよければ教えていただけると大変嬉しいです。

津本さん:そもそもヒラメ自体絞まりやすいと思っています
一概にには言えませんが、エネルギーのない魚ほど早くしまります。
魚は筋肉のかたまりなんで、暴れてアドレナリンを出して死んだ魚は身が弱く、日持ちもしません。
だからゆっくり安静させた魚は絞まるのもおそいんです。
実はヒラメは裏が白いから凄く血の色がわかりやすいんです。
エネルギーの多いヒラメは真っ赤な血を流します。逆に弱ったヒラメふ赤紫な血をだします。
たぶんこの血を出すのはエネルギーを使った魚なんやと思いますよ。

私:なるほど、勿論ほかの魚種にとっても〆る直前のコンディションとか血をしっかり抜くことは大事でしょうけど、ヒラメのように締まりやすい魚は神経抜きの有無よりもこっちのほうが大事なんですね。

津本さん:僕は早く締まる締まらないより、処理が一番大切やと思います。
しまらない食感が美味しいのかと聞かれたら?僕はNOと答えます。
新しいのが美味しい時代は終わりで、新し物を完全な処理をして旨くする時代やと思っています

facebook

死後硬直の早期化より身の処理の方が圧倒的に大事

上のやりとり、津本さんの意図がどういうところにあるかというと、「血抜きによる身の処理>>>>死後硬直の早期化」であり、血抜きのほうが重要だということです。

それは、以前にも紹介したこれらの話と同じです↓


血中の酵素がタンパク質を分解する可能性がある

青魚ほど血や血合肉が多くなくても、やはり血が残っていると劣化しやすくなります。もう1つは、血中にある様々な酵素がタンパク質を分解するはたらきを持ち、これらのはたらきによって身がぶよぶよになりやすい、歯ごたえ影響を与える(可能性がある)というデメリットがあります。

これは上述の近代農学部のリンクで触れています。ただし、はっきりした仕組みは分かっていないとも付け加えられています。

まとめ

もしかしたら神経締めで死後硬直は早まるかもしれません。
でも、そもそも、ヒラメは死後硬直しやすい魚です。いずれにしてもすぐに死後硬直が始まるのです。なので、これに気をとらわれ過ぎるのはいかがなものかと思います。

血が残ってたら、いくら神経締めに効果があろうが熟成させても血が腐敗して臭みに変わってしまうので、熟成に限界があります。
気にするべきは、神経締めではなく、徹底した血抜きだということです。