30ポンド以上の釣糸は無駄、ということが分かる動画

2017/04/09釣り糸,雑学featured,ライン

特定の魚種に限らず、釣り人にはやたらと強力の高い釣り糸を使う人がいます。
でも大抵の場合はオーバースペックなんですよね。

ええ、タイトルにはちょっと煽りが入っています。すいません。

もちろん何を釣るか、ターゲットによって必要な釣り糸の強度は異なるのですが、アングラーの筋力や体力という基本的な視点に立ってみるとそれが分かります。

普通の人間は5 kgしか持ち上げられない

普通の筋力しか持ち合わせていない一般人にとって、釣り竿で5 kgの物を持ち上げることって凄く難しいんです。
船に釣り竿を固定して大型の電動リールで巻き上げる、というような場合なんかは別として。

ダンベルを使って筋トレする時のように、その重りを直接手に取って持ち上げることは簡単であっても、ロッドのリーチがある場合にはモーメントという大きな負荷が発生します。(テコの原理)

ジムこと村田基さんがそれについてフィッシングショーなどでちょいちょい触れています。

ジャッカル(JACKALL inc.)の小野くんが5 kgに挑戦しました、加藤くん も5 kgに挑戦しました。

秦くんは最大7 kgに挑戦しました。

村田基は12 kgです。

youtube.com

ジャパンフィッシングショー 2017 横浜ステージ【村田基】

村田さんみたいなゴリラのような体格の人で12 kg、一般人は5 kgが限界です。それも両手で本気で持って、ロッドが折れるかヒヤヒヤしながらです。

2016年のフィッシングショーでも、10 kgのダンベルを持ち上げた事を話しています。
最大15 kgまで持ち上げたと言っています。この時も小野さんは5 kgダウザーこと秦さんが7 kgを持ち上げています。(秦さんみたいなガタイでも7 kgなんですよ?)

この時は170 lbs.ナイロンを使用しています。

村田基 2016フィッシングショー シマノステージ 肘と引き替えに実現した100mオーバーの超飛距離

この話の中では、ジャッカルが80 lbs.PEを使ったがラインブレイクしたことについて、あまりに高負荷だと40 lbs.くらいまで落ちちゃうからラインが切れるという話をしていますが、40 lbs.って18.1 kgくらいなので5 kgのオモリでは理論上は切れないはずです。

PEはせん断や熱に弱いので、オモリと直結にしたノット部分が切れた可能性が高いですが、実釣ではFGノットなどを使ってリーダーはモノフィラメントラインな訳ですから、80 lbs.PEで5 kgも堪えられないというのちょっと考えづらい話です。

12 kgのダンベルを持ち上げる村田基

それで、実際に12 kgのダンベルを持ち上げている動画がこちらです。
ワールドシャウラ最弱の0番からガチガチの7番まであるなかで、4番で試した様子です。

釣りビジョン【公式】ギアステーション第494回 シマノのフロンティアスピリットあふれるルアーロッドと最新ベイトリールを紹介します!

バットまで曲げてようやく持ち上がるくらいです。こんなに負荷を掛けたら普通のロッドなら折れてもおかしくなくて、ワールドシャウラっていうハイエンドモデルのロッドだから折れずに済んでいるのかもしれません。

でもたぶん実際のファイトだともっとティップ寄りのベリー付近でベンドさせるので、荷重がもっと小さかったとしてもモーメントが強く働くので高負荷が掛かります。

力のモーメントの公式

N=r * F

また、船でのバーチカルジギングのように真下に掛かる荷重に対してはまだ踏ん張ることができますが、水平方向には実際こんなに踏ん張ることは出来ません。

バット

釣り竿のグリップよりも上の根本部分

ベリー

釣り竿の中間部分

ベンド

曲げること。ベント=曲げた。ベントカーブ。

計算式

  • 5 kg
  • ポンド換算すると11 lbs.
  • そこから1/3ルールのドラグ設定として、逆数の3を掛けて11*3=33 lbs.

計算上、33 lbsあればいいのです。

でも両手で持って5 kgしか上がらないっていうことは、たぶん片手だと精々2 kgぐらいしか堪えられないんですよね。

  • 2 kg
  • ポンド換算すると4.5 lbs.
  • そこから1/3ルールのドラグ設定として、逆数の3を掛けて4.5*3=13.5 lbs.

つまり片手でロッドを持つ程度なら、14 lbsあればいいという計算になります。

The Fishing ザ・フィッシング JIBT 第32回国際カジキ釣り大会 #1

Daiwa Salt water Team + Predator FCが30 lbs.のクラスラインで100 kgオーバーのカジキを釣る動画。

ボートでサポートしているとは言え、時間さえ掛ければ30 lbs.クラスラインでもカジキが釣れる。

ノットやライン劣化の計算

算数の話になっちゃうんですけど、上で紹介した計算の補足です。

この計算には、「ノット部分の強度低下やラインの経年劣化が含まれていないのでは?」と思う人もいるかもしれません。(「33 lbじゃなくて40 lbとか50 lb必要なんじゃないか!?」みたいに)

でも、ドラグの設定をライン強度の1/3とか1/4にするというのがその計算にあたります。ノット部分の強度低下やラインの経年劣化を考慮しないのであれば、もっと細いラインでも良いんです。
上で紹介した計算だとこんな具合です。

  • 5 kg
  • ポンド換算すると11 lbs.
  • 使用ラインのMAX強度100%とした時の平均強度80%のラインを使用すると仮定 → 11/0.8=13.75 lb

端数を切り上げて14 lbだとしましょう。
でも14 lbだとギリギリ過ぎるんです。っていうかそれこそノット部分が先にブレイクします。ラインの経年劣化とか傷とか、ラインローラーやガイドリングでの摩擦とか、そういうのを全部込みで33 lb要るねっていう話なんです。

でも実際にそんなギリギリでファイトすることって滅多に無いでしょう?ロッドが折れるのが怖くてそこまで負荷を掛けないのが現実です。

それ以上太くするのは違う要因

じゃあ本当に30 lbs.以上は使わないのかというと、話をひっくり返すようですが使うこともあります。例えば・・・

  • ターゲットの魚の歯がものすごく鋭い
  • 岩場などの障害物にラインが擦れる可能性がある
  • メタルジグなどの重いルアーをキャストする時の瞬間的な負荷での高切れ

などなどの理由があって、絶対にこうだ!というわけではないのですが、単純な強力の話だけで言えば上記の通りです。
下手な人ほど太い釣り糸を選び、太い釣り糸ほどトラブルが発生しやすくなります

ちなみに私はバス釣りだと、スピニングタックルではフロロの5 lbsとか使いますけど56,57 cmなど50 cm後半のブラックバスを今まで何匹も釣ったことがあります。(60 cm以上は2匹釣ったことありますけど両方とも16 lbのベイトタックルでした)
私の師匠は4 lbsで60 cmを釣っています。バラすと針やルアーが魚体に残るので褒められた行為ではありませんが、釣り糸の太さを選ぶ時の参考にしてみてください。