リールサイズとラインの正しい選び方
タックルバランスがアンバランスな人は結構います。「どんなにアンバランスでも釣れりゃあいいんだよ」と言ってしまえばそれまでなんですが、ルアー選びやポイント選びと同様に、より釣果を伸ばすために工夫するのもひとつの手です。
ここでの説明は、スピニングリール、ベイトリールなどの種類を問いません。
釣り糸の選択がタックル全てを決定する
適正なリールの選び方は次の順序で決まります。
- どんな魚とどんなファイトをするのか決める
- 必要なラインの強度が決まる
- ラインのキャパシティーが決まるのでリールの番手が決まる、ラインの強度を上回るロッドが決まる
状況に応じてルアーチェンジは出来てたとしても、ラインまで交換することはできません。
そして、もしこの順番が逆なら、アングラーは道具に使われていることになります。
- こういうロッドやリールが使いたい
- こういうラインしか使えない
- こういうルアーしか投げられない、こういうファイトしか出来ない
これじゃあダメなんです。
そういう意味で、私は釣り糸の選択がタックルの全体を決定すると考えています。
詳しい話は下記リンクを見て欲しいのですが、釣り糸を選ぶには釣り糸の表示強度の意味を正しく理解している必要があります。
日本製のラインの場合、最大でも表示強度の8割くらいしか耐えられないことを理解しておいてください。ポンドテスト基準で安全を見れば5割(半分)ほどの強度です。
ラインの強度と号数の関係一覧表、ナイロン・フロロカーボン・PEの素材別|Prummy ANGLER
https://angler.prummy.com/2014/12/493/
安全を見た5割に加え、ノットによる損失、使用中の傷や劣化による損失、いざという時の余力なども考えると最終的に物凄く低い値となります。
買うべき釣り糸の強度(日本製で、最大強力=ポンドクラス表示の場合) = 平均強力 ÷ 0.7~0.8 = ポンドテスト ÷ 0.5~0.7
買うべき釣り糸の強度(日本製で、最大強力=ポンドクラス表示の場合) = ドラグを出したい強さ ÷ 0.7(ノット損失) ÷ 0.5(ポンドテスト) ÷ 0.9(傷) ÷ 0.9(劣化)÷0.9(追加余力) = ドラグを出したい強さ ÷ 0.25~0.33.3 = ドラグを出したい強さ * 3~4
逆算したドラグの設定値 = 購入した釣り糸の強度(最大強力) * 0.25 ~0.33 = 購入した釣り糸の強度(最大強力) ÷ 3~4
つまりこの計算方法でいけば、買うべきライン強度は、ドラグを出すべき強度の3倍から4倍。
これが1/4ドラグ、1/3ドラグと呼ばれるドラグ設定の所以なのでしょう。
例えば、根ズレのリスクから5 kg(11 lbs.)以下ではドラグが出て欲しくない場合、11*4 = 44 lbs.以上のラインを選択する必要があります。あるいはもっとシビアに計算すると11*3 = 33 lbs.という数字が割り出せます。
しかし、ターゲットによるので一概には言えませんが、この計算方法で単純に釣糸を決定してしまうのは個人的には弱気過ぎると思います。
「ドラグを出したい強さ」を超えたら必ずラインブレイクする、というわけではありませんからそこを混同しないようにすべきです。
管理釣り場ならほとんどストラクチャーが無いので、70 cmオーバーのトラウトも時間を掛ければ2 lbs.でも寄せれますし、60 cmを超えるロクマルのブラックバスでも歯がラインに当たらなければ4 lbs.ラインで揚げることができるのですから。
「何キログラム(何ポンド)でファイトする」というのはちょっと想像しにくいかもしれませんが、普段のタックルでダンベルや水を入れたペットボトルを持ち上げてみると感覚が掴めるかもしれません。(危ないから室内ではやらないこと)
ラインキャパシティーで選ぶ
リールを決定する上で1番大きな要素はラインキャパシティーです。
上記の計算方法に基きながら、釣り場の状況、魚の特性、使用するルアーを考慮し、使用する釣り糸が決定したとしましょう。
あとは簡単。その糸を収められるだけの糸巻き容量(キャパシティー)を持つリールを選ぶだけです。ギア比とか云々はその次です。
まず投げたい距離を仮定します。
フルキャストで100 m投げたいのであれば、投げた後にもまだリールに糸が巻かれている必要があるし、ドラグを出さなければならない可能性もある、ライントラブルで短くなることも考慮すると200~300 mは巻ける必要があります。
使用しているうちに短くなって100 mを切ってしまってはフルキャストが出来なくなって交換するしかなくなるので、長さに余裕をもたせたほうが無難です。
PEで裏表と巻き替えて使うつもりなら尚更です。
ドラグ力で選ぶ
もうひとつの大きな要素はドラグ力です。
バス釣りなどでナイロンやフロロだけを使用する場合、ラインそのものがリールの持っているドラグ力より小さいことが多いのであまり気にする必要はないかもしれませんが、太いPEを使う時には重要な要素になってきます。
例えばジギングをするとします。
PE4号を選択、シマノ ’13ステラSW 5000HGを選ぶとします。(ドラグ力は最大13.0 kg、実用10.0 kg)PE4号を170 m巻きとることができます。でも・・・
PE4号 = 60 lbs.(MAX強度) = 27.22 kg(MAX強度)
平均21 kg(MAXの77%)でラインブレイクすると仮定し、糸の損傷・劣化・ノット損失を考えて16 kg(MAXの60%)以上の負荷をラインに掛けたくないとしましょう。
でも、そもそもリールのドラグは実用で10 kgまでしか耐えられないんです。
つまりリールが小さいということです。
この考え方ができるなら、リールを既に購入済みでラインを選ぶとき、4号を買っても無駄に太いんだと知ることができます。
そして3号、2号と細くする=飛距離が伸びる=攻めるエリアが広がる、ジグの動きも良くなる=釣果がアップするはずです。
もし逆に、「論理的に4号以下はあり得ない」と考えるなら、それに対応するような大きいリールを使うべきです。
「4号は使いたいけど重いのもイヤだから5000番を使う」というのは、それこそ論理的にあり得ませんので、キャパシティの大きな軽いリールを選ぶべきでしょう。
或いはいっそのこと、リールサイズを下げるならラインも細くするべきでしょう。
「1日中投げられるように軽量化したい+根ズレ対策に余裕を大きく見ている」など特別な理由や、具体的に合点のいく理由がない限り、釣りに必要なタックルのスペックとアングラーの体力的なスペックを混同してはいけないと思うんです。
まぁだからと言って、ゴリマッチョも、か弱い乙女もお子様も同じタックルでいいかというとそんなワケでもないですし、結局のところは落としどころの話にはなるんですけどね。←
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