ヒスタミン食中毒の原因と対策!夏場の青魚に要注意

2015/10/24アジ,ジギング,料理,雑学ヒスタミン,ヒスチジン,青物,食中毒

皆さんはヒスタミン食中毒(Scombroid Fish Poisoning)をご存知ですか?
マグロ、イワシ、アジ、サバなど腐敗の早い青魚・青物(血合いの多い赤身の魚)を食べた際に起こる食中毒です。
多くの人が、青魚での食中毒について単に腐敗した魚を生で食べたことが原因と勘違いしている節があり、この食中毒の原因と正しい対策方法を知らないようなので紹介したいと思います。

ヒスタミン食中毒の原因と症状

食べた時の魚の味

食べた時の魚の味として以下の報告がある。しかし基本的には味や臭いに違和感がない。

  • 金属の味がする
  • ピリっと刺激味がする

症状

  • 早い時で食後10分から30分、遅い時で1時間から3時間後に発現する
  • 症状は3時間から36時間続く(平均14時間)
  • 主な症状としては、以下のうち2,3種類が同時に現れる
    • 嘔吐
    • 下痢
    • 腹痛
    • 舌・顔面の腫れ
    • 蕁麻疹
    • 頭痛
    • 悪心
    • めまい
    • 動悸
    • 呼吸困難
    • 発汗
    • 顔の紅潮

つらそう・・・。

原因

ヒスタミン食中毒の怖いところは加熱調理で防げない点にあります。

一般的な食中毒の原因は細菌そのものなので、加熱殺菌すれば食中毒を防ぐことができます。
しかし、ヒスタミン食中毒は細菌そのものに原因があるわけではないので、焦げ目が付くまで焼いたり芯まで火を通したとしても食中毒が起こります。


では一体何が原因なのか。

実は食中毒は大きく2つに分類されます。1つは感染型食中毒、もう1つは毒素型食中毒です。
ヒスタミン食中毒は毒素型食中毒の一種です。

感染型食中毒

サルモネラ菌、病原性大腸菌などが腸内に感染することで引き起こされる食中毒のこと。
菌そのものが原因なので、加熱殺菌処理で菌を死滅させれば回避出来る。

毒素型食中毒

菌そのものではなく、菌が繁殖する際に生み出す毒物によって引き起こされる食中毒のこと。

魚の筋肉には多くのヒスチジンというアミノ酸が含まれており、生魚に生息するバクテリア「ヒスタミン産生菌」がこのヒスチジンを分解することによってヒスタミンが産生され、これを摂取することで中毒となる。
特に青魚にはヒスチジンが多いため、ヒスタミン産生菌によるヒスタミンの蓄積がそれに比例して多くなる。

感染症というより毒キノコを食べた状態に近く、黄色ブドウ球菌による食中毒もこれに当たる。

ヒスタミン産生菌は20℃以上の高温で活発に活動します。

ヒスタミンは非常に耐熱性が高く、102℃で3時間加熱しても一部しか破壊されないため、ちょっと傷んでるけど加熱したらイケるイケるぅ!と思うのは非常に危険です。

また、ヒスタミンの生成具合が必ずしも魚の腐敗具合とは比例しない点にも注意が必要です。
身が新鮮な状態であってもバクテリアによるヒスチジンの分解が多い場合はヒスタミン食中毒を引き起こす可能性が高くなります。

対策

せっかく釣りで持ち帰った魚でヒスタミン食中毒にあたるほど悲しいことはありませんので、気をつけたいものですね。

  • 血抜きをしっかりする
  • とにかく冷やす
  • バクテリアの繁殖を抑えつつ神経絞めの効果も同時に考慮するなら8℃前後をキープする(ただし低温増殖性ヒスタミン産生菌は5-10℃でもヒスタミン生成するらしいので油断禁物)
  • 早めに食べる
  • 〆鯖などの調理で長時間放置する場合、作業以外の時間帯はこまめに冷蔵庫へ
  • 調理中の室内温度や体温遷移にも注意する

また、もし食中毒が発症した場合は催吐(嘔吐を促し)、抗ヒスタミン剤を投与することになると思います。
病院での原因解明のために嘔吐物を持参した方がいいでしょう。