鯉、スズキ、ボラは臭い?じゃあ「洗い(洗鱠)」で食べよう!
鯉やボラみたいな魚は「臭い」という先入観を持っている人は多いみたい。スズキも、サラシの中で釣れたら美しい魚体ですけど、港湾の居付きのスズキ、都会を流れる河口で釣れるスズキは見た目がドス黒くて「捌いたら臭そう、絶対食べれない」と思ってリリースする人も多いみたい。実際にはそこまで臭くないと思うんですけどね。
でももしそう感じているなら、そういう魚を「洗い」で食べたら良いと思うんです。
洗いとは
- 洗い
洗いとは、鯉やスズキの身を薄切り(そぎづくり or 糸つくり)にし、氷水で身を洗ったり、お湯に晒して冷水で身を引き締めること。冷蔵庫が普及する以前はお湯で洗っていた。現代でもその調理法は使われている。
他の表現として、洗魚(読み方:あらい)、洗鱠(読み方:あらいなます)などがある。元々は洗鱠と呼んでいた。(らしい)
- お湯を使った洗い
薄切りにした身を50℃~70℃のお湯で30秒ほど洗ったらすぐに常温の水で冷却して締める。身の厚さや量に応じて、お湯の温度、湯量、洗う時間は微調整すること。
- 氷水を使った洗い
薄切りのした身を氷水に数分晒し、表面が白く濁ってきたら取り出して水気を拭き取る。
洗いに適した魚介類
- 鯛
- 鯉
- スズキ(シーバス)
- クロダイ(チヌ)
- ボラ
- エビ
- カニ
洗鱠にすれば身が締まり、泥臭さも消えて美味しくなります。また、余計な脂も落ちるので、さっぱりした味わいになり、沢山食べても胃がもたれにくくなります。
季語にも使われる「洗い」
「洗い」は季語(俳句)の「三夏」としても使われます。
- 三夏(さんか)
梅雨前の爽やかな初夏、梅雨の蒸し暑い仲夏、炎暑の晩夏をひっくるめた夏の総称。三夏の季語には他にも以下の表現がある。
- 洗ひ
- 洗鱠
- 洗鯛(あらいたい)
- 洗鯉
- 洗鱸
- 活き造り
ビードロに洗ひ鱸を並べけり
正岡子規 「新春夏秋冬」
- ビードロ
「ガラス」の古い呼び方。ビードロ細工など。
スズキの洗い
正岡子規が思い描いた洗いもこんな感じでしょうか。
この動画では酢味噌を付けて食べていますけど、勿論わさび醤油でもOK。
鯉の洗い
生の淡水魚って寄生虫が怖いんですけど、昔ながらのお湯を使った洗いには熱で殺虫する意味合いもあったんでしょうか。
クロダイの洗い
こちらも、ミョウガに酢味噌で食べています。
ボラの洗い
ボラのさばき方自体は普通の魚と一緒なので省略します。サクの頭側にコチと同じようなY字型の小骨が入っているので、その部分だけ切り取ったほうが薄切りにしやすいです。
コチのY字型の小骨についてはこの動画をみてください。
カニの洗い
「カニの洗い」と言えば、まるでブドウの房かフジの花みたいにも見える、身がプリプリしたお刺身のアレです。これはあっという間に火が通りそうですから、もっぱら氷水ですね。
藤造り
で、「洗い」や「カニ」の話からは逸れちゃうんですけど、刺し身の飾り方には「藤造り」という技法があるんですね。
こんな飾り方があるとは知りませなんだ。美しい。サヨリ、アジ、イワシみたいな魚で実践できます。私も機会があればやってみようと思います。
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