コルク製とスポンジ製のグリップ、何がどう違うの?どっちがいいの?

2018/06/30

釣り竿のグリップには、大きく分けてコルク製とスポンジ製(EVA製)の2種類があります。その違いを説明します。

コルクとEVAの性質の違い

EVA

エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂の略で、熱可塑性合成樹脂のひとつ。ポリエチレンよりも柔軟性と弾力性を持つ。耐候性に優れ、表面劣化を起こしにくい。

トルエン等の芳香族系(有機溶剤)、クロロベンゼン、テトラクロロエチレン、強酸、ガソリン、鉱物油などと接触すると崩壊する

用途としては浴室マット、緩衝材、クッションなどに使われている。

対応温度は-20℃~60℃。

コルク

北アフリカから地中海に分布する、コルク樫(コルクガシ, Cork Oak)というブナ科の常緑高木の樹皮を剥がしたもの。水に濡れても質感が変化しにくく、滑りにくくて感度が良い。高級感がある。

対応温度は-40~150℃。

コルクガシは成木になるまで20年かかる。木の寿命は150~200年で、15~18回程度採取できる。最高級グレードだと、原料となるコルクバークの状態で1トンあたり200万円(1 kgあたり2000円)で取引される。

コルクの等級

コルクの国際取引での等級は7等級とか1、5Aから1Aの5段階やBを加えた6段階、細分化されている場合で10段階など2、場面によって異なります。

コルクとEVAのメリット、デメリット

水に濡れる釣りなら、断然コルクグリップ

EVAとコルクの一番の大きな違いの1つは吸水性にあります。

EVAはスポンジ質なので水を沢山吸い込んでしまいます。一方コルクは、濡れても吸水しにくく、水切れもよく、速乾性にも優れています。

例えば渓流、湖、サーフでのウェーディング、フローターバッシングなど、水面ギリギリで釣りをすることになり、ロッドが濡れやすい釣りではコルクグリップの方が有利です。

砂や泥が付くフィールドでもコルクグリップが有利

スポンジ質のEVAグリップは汚れが入り込みやすいのもデメリットの1つです。コルクのほうが明らかに洗浄しやすいです。

コルクは耐薬品性や耐熱に優れる

上で説明した通り、EVAの対応温度はたった60℃です。あまりに高い熱や、特定の薬品に極端に弱い。一方、コルクは-40~150℃程度まで対応可能です。

コルクは経年で風合いが増し、情緒すら感じられる

コルクは劣化しても、劣化した分だけ風合いが増すのが良いですね。EVAは頻繁に触るところが白くなり、表面がツルツルしてきて悪い意味で「使い倒した跡」という感じがしてきます。

コルクは修復・補修が可能

EVAはキズが付いたらそれっきり、補修できません。また劣化するごとにみすぼらしくなっていきます。

一方コルクは、欠けたり目抜けしても、ヤスリがけや補修材である程度は修復することが可能です。

目抜け

コルクが部分的に抜け落ちること。

目止め

コルクパテを使って、目抜けした穴を補修すること。

ジギングロッドでコルクが使われないのは何故なのか

海釣りのロッドの多くはスポンジ製(EVA)です。一方、渓流、湖、川などの淡水域ではコルク製グリップのロッドがよく使われています。無くはないですが、圧倒的にEVAが多いです。
なぜでしょう?

明確な答えはありませんが上述を踏まえると、海釣りでコルクではなくてEVAが使われている理由はコストの関係かもしれません。

多くの海釣りのタックルはバス釣りに比べて頑丈で長いです。ガイド数が多い、各パーツが一回り大きいなど。結果的に、全体としてイヤでも高額になります。

特にショアジギングだと、ファイトやキャストのためにはどうしても長いグリップが必要で、しかもセパレートでは色々と都合が悪いです。これをコルク仕様にすると結構なお値段になります。

高級なコルクではなく廉価なEVAを使えば、そういうコストの跳ね上がりを幾分か打ち消すことができます。

コルクグリップが高価な理由

コルクグリップは高級感もあって人気です。

高級ロッドの場合、グリップに結構なコストを使っている場合があります。それはロンググリップの場合です。

ロッドのグリップは長さ数センチのドーナツ状で単体のコルクリングを接着剤でいくつも繋ぎ合わせることで1本の長い棒状にして、これを回転させながら削ることで成形します。下の動画を参照してください。

で、コルクは天然素材なので瑕疵がある場合があります。成形途中で傷が出てきた、レンチセル(Lenticel)があった、穴があった、虫が食ってた・・・など。そうなると、そのコルクはもう使えなくなってしまいます。

Lenticels

レンチセル。果実や樹木の幹の表面に見られる気孔、皮目。多くの場合、樹木の幹では水平に線状、楕円状に現れ、ブツブツしている。ジャガイモの表面の茶色いブツブツもレンチセル。

長いグリップほどそのキズに遭遇する確率が高くなるので、製造メーカーはその損失分も込みで価格設定します。

なので、コルクでロンググリップのロッドはただそれだけで価格が高くなります。下の動画では村田基さんがそれについて語っていて、「3倍も4倍も払うことになる」と言っています。

最近はグリップの真ん中にブランクスが見えているセパレートグリップが流行っています。あれはメーカーにとっては美味しい仕様なんです。カッコよく見せつつ、しかもコルクのコストを抑えられるからです。理にかなっています。

「ロンググリップは至高でセパレートグリップは邪道だ」とは言いません。でも、ロッドの価格がその分ちゃんと安いのか、あるいは違うところにコストを掛けたロッドなのか、買い手であるユーザーは理解する必要があります。(その価格で満足しているなら何もいうことはありませんが)

出典、脚注