キス(魚)の生態
どうも、ロクマルです。6月、梅雨と初夏ですね。
初夏から手軽に釣れる魚といえば、青物、鱚(シロギス)、タコです。私も普段、これらを楽しんでいます。
このページではキスの生態について説明します。
キスの釣り方(遠投仕掛け、競技用仕掛け)については下記リンクを参照してください。
キスの簡単な釣り方!初心者向けの「ちょい投げ」編については下記リンクを参照してください。
キスの生態、生活環
どんな魚でも言えることですが、釣りたい魚がいたら、その魚の一生について知ることが大事です。
繁殖
産卵期
日本に於けるキスの産卵期は梅雨~晩夏・秋で、6月~10月頃です。特に7月~8月は産卵のピークを迎えます。
産卵場所
キスの生息水深は0~30 mですが、産卵期に入ると浅場に移動して水深1~15 m程度の浅い砂地の藻場などで産卵します。
産卵回数
びっくりなことに、キスは産卵期に入ると、ニワトリのように毎日産卵します。それも山盛り産みます。
- 7月下旬
1匹あたり1日で100個
- 8月上旬
1匹あたり1日5000個
- 8月下旬
1匹あたり1日10000個
毎日徐々に卵の数を増やしていき、8月中旬には1日に平均で1万個も産みます。(やばい)
産卵方法
産卵の開始時間は夕方から夜、17時から20時前後にかけておこなわれます。
メスが産卵しようとするとオスが察知して、雌を追跡しはじめます。
メスが海底よりも少し高い場所で水中に無色透明の卵を放出すると、オスもすぐに精子を放出し、卵は水中で受精します。
周囲に複数のオスがいる場合、1匹のメスの産卵に対して複数のオスが精子を放出します。1
孵化
完熟卵は直径0.64 mm(0.61~0.71 mm程度)の極小の球形をしています。
1つ1つがバラバラで、海水よりも少し軽い浮性卵です。孵化するまで海水中を漂います。もし水槽のような海水の動きがない場所なら、浮かんだ卵が水面を覆い尽くすことになります。2
海水温が25℃前後(20℃~27℃)の場合、産卵から20時間後に孵化します。(早い)
幼魚は体長1.3~2 mm程度。孵化直後は口が開かず、身体に付いている臍嚢から栄養を摂取します。
- 臍嚢
さいのう。稚魚の腹についている袋。中には卵黄が入っている。口が開き、自分でエサが捕食できるようになるまでこれを吸収して成長する。
孵化3日後の体長は1.5~2.6 mmほどになり、動物プランクトンを食べ始めます。26
孵化直後は胸鰭等もなく、親と同じ形になるまで20日程度かかります。
食性
幼魚・稚魚はケンミジンコなどの動物プランクトンを食べ、大きくなるとイシゴカイやアオイソメのような多毛類や、エビなどの甲殻類を食べます。
形態
シロギスの場合、水深0~30 m程度の場所で生活し、幼魚はアマモなどの海藻類の茂みで身をひそめて成長し、成魚になると砂地の開放的な場所でも活動するようになります。
釣れる時期
最盛期は4月~10月
- 5月~6月
ヒネギスが釣れやすい。しかも産卵期のピークではないため、身に脂が乗っている。前年に生まれたピンギスも小さいものが多いので、ピンギスが釣れにくく、大きいキスが釣れやすい。浅い場所にいるため、砂浜からでも釣れやすい。
- 鱚釣りは八十八夜から
鱚が釣れる時期を言い表したことわざ。3
- 八十八夜
立春を一日目と起算して、立春から87日目の夜のこと。現在の暦で5月2日頃。
- 7月~8月
前年に生まれたキスが釣れるくらい大きくなる時期で、サイズは出ないが数釣りが楽しめる季節。
- 9月~10月
産卵を終える、越冬に備えるなどの理由で深場に移動するため、岸から狙えるような浅瀬では釣れにくくなる。
冬のキス釣り
12月、1月、2月の真冬でも岸からキスは釣れます。越冬ギスです。
水温が安定している深場(水深5 m以上)の砂地、ゴロタ周り
釣れるタイミングは上げ潮の方がいいらしい
冬場は動きが遅いのでストップ&ゴーでゆっくり目に誘う
キスの種類
キスは5属33種いるとされていますが、日本で釣れるキスは主に次の4種類です。なかでもほとんどがシロギスです。
- シロギス
もっともよく釣れるキス。99%以上、日本で釣れたらまずシロギスだと思っていい。シーバスのように銀色ベースのモトギスとは違い、体色は黄色み掛かった白色。
- モトギス
インド太平洋を中心に分布する。キスの中ではもっとも広範囲に分布する。シロギスと混同しやすい。他のキスとは違い、沖には出ない。
- ホシギス
奄美大島以南に生息するキス。死ぬ体側に星のように斑点が浮かぶ。本州ではまず釣れない。
- アオギス
元は東京湾に多く生息したが、現在では公害などで数を減らし、東京湾内では絶滅したとされている。ただし韓国、九州、台湾などでは生存が確認されている。
大きさによる名前の違い
- 尺ギス
1尺(約30.3 cm)を超える大きなキスのこと。
- 大ギス
漠然と大きなキスを指す場合もあれば、28 cmを超えるキスだと定義する人もいる。
尺ギスと同義だとする人もいる。
- テッポウギス
25 cm以上のキス。市場価値が高くなるサイズ。4
- ヒネギス
2歳以上、18 cm 以上のキス。ヒネたキスのこと。「陳ねる(ひねる)」とは関西弁で「年を取る」「古くなる」「(子供が)大人びている」を意味する。
- ピンギス
主に10~15 cm程度の、ヒネギス未満の小さいキスのこと。
「ピンからキリまで」の「ピン」で、最小、最低、最下位を表す。ピンが上でキリが下だという主張は後から誤って広まったとか諸説あるが、少なくとも魚のキスにおいてはピンギスは小さいキスを意味する。
ピンギスは何歳なのか
ピンギスは1歳で、前年に生まれたキスです。1年掛けて12 cm前後まで成長しています。
7~8月頃に大量に釣れるピンギスが、その年に早く生まれて2~3ヶ月で急速に成長したキスだと思っている人がいますが誤りです。2ヶ月で10 cm程度まで成長することは到底不可能です。
モトギスを例にとると、こうなります。
12ヶ月で13-14 cm
24ヶ月で16-20 cm
36ヶ月で20-24 cm
48ヶ月で24-28 cm
モトギスは年中産卵していて、産卵ピークは11月~3月で真冬です。これは、モトギスが主に南洋に生息していて、南洋の夏が暑すぎるからかもしれません。(キスの卵は水温28℃以上だと死滅しやすいから)
シロギスでもそういう個体がいてもおかしくないのかもしれませんが、日本での繁殖最盛期は7月~8月です。もしピンギスがその年に生まれたキスで3ヶ月で10 cm以上まで急成長できるのなら、爆発的に増える時期は11月頃になるはずです。でも実際には7月頃から急増します。
そもそも4月でも5月でもピンギスは釣れます。これだと1月から2月に孵化したことになります。
そして小さいながら、幼生が親と同じような魚の形になるだけでも20日も必要なのです。
孵化する時期にもよりますが、成長速度から言って、その年に生まれたキスは11月でもせいぜい1~5 cm程度だと考えられます。
ピンギスがその年に生まれたキスだという説は何ひとつ辻褄が合わないのです。
季節による名前の違い
- 越冬ギス
越冬したキス。
- 早場ギス
春先に釣れるキス。
- 秋ギス
秋口から、浅場で荒食いするキス。
- 落ちギス
越冬前に深みに溜まったキス。
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