FGノットの編み込み回数は細い糸ほど増やすべき
FGノットの最初の編み込み回数について15回とか20回とか諸説ありますけど、使用する号数とその編み込み回数の関係ついての考察です。
よく言われるのは、太い糸ほど編み込み回数を増やすべきという言説ですが私見ではこれは間違いです。細い糸ほど編み込み回数を増やすべきです。でもこれ、FGノットだけではなくてあらゆるノットに言えることなんです。
なぜなのか。
太い糸ほど弱い
まず1つ目のファクトです。
釣り糸の太さと単位断面積あたりの強度は反比例します。ちょっと何言ってるか分かりにくいですね。
要するに太い糸ほど、太さの割には強くないということです。
それで、基本的に[編み込みの多さ=ノットの摩擦力>破断強度]となる必要があります。
部材の強度よりも接合部の強度が高い必要があるんです。この場合の接合部の強度というのは引張力ではなく、編み込みによる摩擦力を指します。
糸の強度と太さの関係については下記を参照してください。
https://angler.prummy.com/2017/07/4353/
編み付け面積と糸の太さの関係
次に2つ目のファクトです。
スケールアップしようがスケールダウンしようが、編み込みを施したリーダー部分の面積と号数は1次関数的に正比例の関係になります。
どういうことかというと、具体的に以下のような検証をしてみます。
- 例えば、同じ強度のPEとリーダーを使用したと仮定して、これらをFGノットで結ぶ。
- で、同じ編込み回数を維持したままPEの太さ(断面積)が0.5倍、1倍、4倍、8倍の太さの場合を考えてみる。
- リーダーの太さはPEの引張強度と釣り合うように設定するため、単純に5倍や10倍にはしない。
- 糸の性質はスケールによって変動しないものと仮定し、単純にスケールの変化と摩擦面積の関係を考察する。
以下はその計算式ですが、読み飛ばしてもらっても結構です。
- ✕0.5倍(PE0.5号の場合)
- 0.5号10 lbs.のPE
- 2.5号10 lbs.のリーダー
- 編み込み回数は10回
- その面積は5になる( 実際の面積:リーダーの直径✕π✕PEの直径✕10回 = [ 0.260 * π ] * 0.121 * 10 = 0.3146π )
- ( 0.5号と1号の結束部分の面積比率 = 0.3146π / 0.6327π = 約 0.500 ( 0.497 )
- 10 lbs. / 5面積 = 1面積当たり2 lbs.の負荷(≦2 lbs.なのでギリギリ条件クリア)
- ✕1倍(PE1号の場合)
- 1号20 lbs.のPE
- 5号20 lbs.のリーダー
- 編み込み回数は10回
-
この面積を10と仮定する( 実際の面積:リーダーの直径✕π✕PEの直径✕10回 =
[ 0.370 * π ] * 0.171 * 10 = 0.6327π ) - 面積が10未満の場合は摩擦力不足でスッポ抜けると仮定する
- = 20 lbs. / 10面積 = 1面積当たり2 lbs.を超える負荷ですっぽ抜けると仮定する
- ✕4倍(PE4号の場合)
- 4号60 lbs.のPE
- 20号60 lbs.のリーダー
- 編み込み回数は10回
-
その面積は40になる(実際の面積:リーダーの直径✕π✕PEの直径✕10回 =
[ 0.740 * π ] * 0.342 * 10 = 2.5308π ) - ( 4号と1号の結束部分の面積比率 = 2.5308π / 0.6327π = 4.00 )
- 60 lbs. / 40面積 = 1面積当たり1.5 lbs.の負荷(<2 lbs.なので条件クリア)
- ✕8倍(PE8号の場合)
- 8号100 lbs.のPE
- 30号90 lbs.のリーダー
- 編み込み回数は同じく10回
-
その面積は69になる(実際の面積:リーダーの直径✕π✕PEの直径✕10回
= [ 0.910 * π ] * 0.483 * 10 = 4.3953π ) - ( 8号と1号の結束部分の面積比率 = 4.3953π / 0.6327π = 6.9469 )
- 100 lbs. / 69面積 = 1面積当たり1.449 lbs.の負荷(<2 lbs.なので条件クリア)
これらの検証から分かることは以下のような点です。
- 編み込み回数を統一した場合、号数(断面積=太さ)が2倍になれば編み込み面積も2倍になる
- でも、太い糸ほど弱い(断面積の割には強くない)ので糸の強度は2倍未満になる
- 結果、大きな面積で小さな負荷を負担する
- 逆に糸が細くなるほど負荷が大きくなるので編み込み回数を増やさなければならない
- この関係はlbs./号数の倍率とも連動する
- 例えば、PE0.3から2.5号までは倍率が20と一律なので、号数によって編み込み回数を変える必要がない
- 倍率についてはナイロン・フロロ・PEラインの強度・太さ一覧表にある[倍率]の項目を参照のこと
いや、まぁこんな計算を一々しなくても、二乗三乗の法則に則れば号数(釣り糸の断面積)と表面積が正比例の関係にあるということは分かるんですけどね。
でも実際に計算してみないと納得できないじゃないですか!
一般的に云ってFGノットを使うのは最低でも大体8 lbs.以上で、ジギングをする人だと25 lbs.から60 lbs.くらいなので、編み込み回数を極端に変える必要はありません。
でもそれが例えば、PE0.3号でアジングやメバリングするためにノーネームノットをするのに、バスフィッシングで使ってる10 lbs.くらいのラインと同じ編み込み回数だと、すっぽ抜ける確率が上がるということです。
太い糸ほど編み込み回数をめっちゃ増やしている人は多いです。私から見るとちょっと論理的ではありませんね。でも自分が信じているセッティングをおこなう事が釣りでは大事なので、それ以上はあまり言いたくありません。ただ、なるべく編み込み回数を減らすことができれば結束部を小型できるのでライントラブルの低減にも繋がりますし、将来に渡って無駄な手間も省けるので、ギリギリのラインを自分なりに見極めるのは有意義です。
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