wax-moth-bio-degregation-pp-pe

ワックスワーム(幼虫)によるポリエチレンの生分解技術は釣り業界で活躍しうるだろうか?

ハチノスツヅリガの幼虫であるワックスワームによるポリエチレンの生分解に関する論文をCurrent Biologyで見かけました。
何色のパワーイソメが1番よく釣れるのか実験した動画でも生分解ワームについて触れましたが、普通のプラスチックは触媒を利用したとしても肉眼で確認できない分子レベルではプラスチックのまま存在しており、本当に分解するまでには数十年かかると言われています。

Photo: Current Biologyのスクリーンショット

2015年時点では、ポリスチレン(PS)については ゴミムシダマシの幼虫であるミールワームによる生分解ができるという研究が進んでいたものの、PEPPの分解についてはまだだったようです。

ミールワームやワックスワームは、釣り餌として使われているワムシの一種です。要するにイモムシです。

体長1 mm前後の微生物、プランクトンである輪形動物(りんけいどうぶつ)もワムシ類と呼ばれるのですが、これらとは別物です。

世界におけるPEとPPの消費量

プラスチックは化石オイル由来の合成ポリマー(高分子化合物)で、生分解に難のある物質として有名です。

PEPPはプラスチック生産量の約92%を占めていて、プラスチック製品の4割は商品の包装に使われています。数量にして年間1兆ポンド(=4億5359万2370トン)もの莫大な量です。

40分でレジ袋に穴を開けた

論文での実験では100匹のワックスワームを使っており、ポリエチレン製のレジ袋とワックスワームとを接触させて放置したところ、40分で袋に穴を開けています。また、12時間で92 mg分のポリエチレンを食べています。これは一般的なレジ袋1枚の1/6の重さに相当します。

また論文には、PET(ポリエチレンテレフタラート)はポリエステルの骨格を持っていて加水分解することができるので、PEより生分解が容易であると予想される。とあります。

ブドウムシの代替品にもなっているハチノスツヅリガの幼虫、ワックスワーム

  • ブドウムシは1匹当たり100円
  • ワックスワームは1匹当たり30円

ハチノスツヅリガ( Galleria mellonella )の幼虫であるワックスワームは、コストパフォーマンスの高さから渓流釣りにおけるブドウムシ(ブドウスカシバの幼虫)の代替品として注目されてきました。

魚が好んで食べる虫ってどんな味なんだって興味もありますが、ワックスワームやブドウムシを生食したり、パスタや釜飯に入れてナッツとかトウモロコシみたいな風味がするって表現で食レポしてる人もいます。でもまぁ日本でもハチノコを食べるくらいなので、美味しい幼虫はやっぱり美味しいんでしょう。

ワックスワームは蜂の巣を食い荒らす養蜂家泣かせの害虫

ハチノスツヅリガの名前の由来は、ワックスワームがハニカム構造になっている蜂の巣の蜜蝋(ワックス)を食い荒らし、その糞や食べカスを糸で綴り合わせることからです。

渓流釣りの釣り人にとっては経済的な救世主ですが、蜂蜜を生産している養蜂家にとっては迷惑な虫なんですね。

でも全部食べさせるわけにもいかない

ウッズホール海洋研究所の海洋生物学者Tracy Mincer氏によると、ポリエチレンはアップサイクル可能な高品質な樹脂で1トン当たり500ドルの値が付くので、全てを虫に与えるのは金を捨てるに等しい と、語っています。

Polyethylene is a high-quality resin that can be up-cycled in many ways and can fetch up to $500 per tonne.

In my opinion, although this is an amazing natural history story and wonderful academic exercise, it is not a solution for disposing of polyethylene as this is throwing away money.

nationalgeographic : This Bug Can Eat Plastic. But Can It Clean Up Our Mess?

釣り業界での実用化は?

このニュースを知った時に真っ先に思いついたのが水中でロストしたワームやプラグなどを生分解してもらえないかというものでしたが、ワックスワームは陸上の虫なので釣り場での活用は難しそうです。

これは従来のバクテリアによる生分解の方が圧倒的に有利です。

ワックスワームの生分解の仕組みについては唾液腺か虫が持っている共生細菌が出す酵素ではないかと推測されていますが、これを抽出してルアーの躯体に混ぜ込むことが出来ればあるいは可能かもしれません。ルアーはリサイクルするものではなく、ロストすればただ釣り場のゴミとなってしまうので、是非実現してほしいですね。

コメントを残す

CAPTCHA