釣り用ライフジャケット(PFD)の選び方と法律的着用義務

2017/10/06

ライフジャケットを初めて購入する場合、分からないことだらけで色々と思案します。

素材別などでの性能は勿論のこと、法律に関しても疑問を抱く人は少なからずいるはず!ということで、ライフジャケットについて非法律家なりに調べるうちに分かったことを共有したいと思います。

この記事の要点
  • ライフジャケットの選び方
  • ライフジャケットとPFDの違い
  • 法律的に、釣り船でのライフジャケット着用義務はあるのか?

これらについてまとめます。
これさえ押さえておけば、あとは心置きなく好きなライフジャケットが選べるぜ!

自己救命策の基本

海上保安庁の調査によると、2007年におけるライフジャケット未着用者の釣り人の死亡率は着用者の1.5倍ですが、2001年から2005年までの船舶等における全体の死亡率は5倍も差があります

釣り中のライフジャケットの着用・未着用での生存率の違い(2007年)
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海上保安レポート
漁船・プレジャーボート等の小型船舶における海中転落者のライフジャケット着用・未着用別の生存率(2001-2005年)
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国土交通省海事局

それから、意外と気にしていない人が多いのが連絡手段の確保です。
いくら落水時にライフジャケットで助かったとしても、助けを呼ぶ手段がなければ元も子もありません
釣り仲間と複数人で釣りに行ったとしても、磯だと仲間が落ちても岩影で見えないことも考えられるので、通信手段は必須です。

過去に私の知人の釣り仲間も磯釣りに出掛けて海に流されて亡くなっています。絶対に水難事故を侮ってはいけません

自己救命策の3つの基本/ 海上保安レポート
life-jacket-3-rule (2)
  • ライフジャケットの常時着用
  • 防水パック入り携帯電話等、連絡手段の確保
  • 海上保安庁への緊急通報用電話番号
    118
    の活用

膨脹式・浮力材式、どちらを買うべきか

魚釣りを目的としてライフジャケットを買う時にまず悩むのが、膨張式・浮力材式のどちらにするべきかという事です。

それぞれにメリット・デメリットがあります。

もし、釣り以外に使う予定がなく、沖・堤防・ボートなどのオープンフィールドのみの使用が前提なら膨脹式でも構いません。

しかし、そうではない限りは浮力材式にすべきだと思います。その大きな理由は次の4点です。

  • 膨張式は絶対に膨らむ・機能するという保証がどこにもない
  • 膨張式はボンベの交換で維持費が発生する
  • 浮力材式なら比較的雑に扱える
  • 浮力材式ならマリンレジャーにも使える
膨脹式

折り畳んだ気室と炭酸ガス(二酸化炭素)のボンベがセットになった救命胴衣で、必要な時だけ救命衣気室にガスを注入して膨らませて浮力を生み出す方式。一度膨らませると、気室部分はガスを抜いて何度も使いまわせるが、ボンベはその都度 新品(2000円~3000円/1本)と交換する必要がある。

自動膨脹式

着水時、落水時に水を感知して自動的に膨らむ方式。

手動膨脹式

自分で紐を引っ張ることで膨らませる方式。

メリット
  • コンパクト
  • 動きやすい
  • オシャレ
  • 夏は涼しい
デメリット
  • 1度膨脹したら別売りのボンベと取り替える必要があるので、維持費がかかる
  • 経年劣化もあるので膨脹せずとも1年~2年で交換する必要がある
  • 自動膨脹式は水洗いや雨などの水気に神経を使う
  • 手動膨脹式の場合、もし気絶してたら膨脹させられない
  • 浮力材タイプとは違い、着水時に水面で仰向けに浮きやすいので身動きがとりにくい
  • 気室(膨張性浮袋)は傷に弱いので岩や貝などで破裂する恐れがあり、磯場では役に立たない
  • 津波などの災害時も、漂流物でパンクするので役に立たない
浮力材式
メリット
  • ポケットのある製品が多いので、防水パックに入れた携帯電話やペンチなどの小物が入れられる(落水時に携帯電話を持っているかどうかはとても重要)
  • 釣り以外のマリンレジャーでも使えるので汎用性が高い
  • 膨脹式とは違い、落水しても釣行を続行できる(季節や服装にもよるけど)
  • 冬は防寒にも役立つ
デメリット
  • ダサイ商品が多い
  • 夏は暑いし蒸れる
  • 嵩張る
  • 動きにくい(シャクった時にグリップエンドが引っ掛かったりする)

ライフジャケットとPFDの違い

少し遠回りな話からしましょう。
救命胴衣は用途に応じて3種類に分類できます。

a.小型船舶用救命胴衣

頭部を水面上に出し、リラックスして浮いていることができる。

b.作業用救命衣

船上で作業する方のためのライフジャケットで、作業性を重視。

c.小型船舶用浮力補助具/2002年10月(平成14年10月)導入 

小型船舶用救命胴衣よりも要件を緩和し、着心地や機動性を重視。

更に、上記の用途別3種類とは別に、次の4種類のタイプに区分することが出来ます。安全性に配慮しているほどグレードが上です。(Aが一番上のグレード)

  • TYPE A
  • TYPE D
  • TYPE F
  • TYPE G

3つ用途と4つタイプの関係性を一覧にすると、概ね次のようになります。

ライフジャケットの用途、タイプ、要件・規格一覧表
用途 タイプ 反射材 浮力 (kg)
a A 発見されやすい色 7.5以上
D
b F
c G 5.85以上
空欄は指定無し

それで本題に入りますと、日本におけるライフジャケットとPFDは、堅苦しい話を抜きにすれば同じモノです。
しかし、厳密に定義するなら次のようになるかと思います。

ライフジャケット

救命胴衣の意味。ライフベスト、フローティングベストとも言う。
もっぱら緊急時のための救命装備。上半身を全体的に覆ったり反射材が付いていたりと、水難時の体温維持や視認性を重視したもの。
使用時は着水しないことが前提、或いは一度きりの着水を前提とした救命胴衣。a.小型船舶用救命胴衣の意味合いが強い。

PFD

PFDとは、Personal Flotation Device の略称。直訳は救命胴衣でライフジャケットの1つに属するが、能力的にはb.作業用救命衣やc.小型船舶用浮力補助具の意味合いが強い。

身動きがとりやすいように敢えて浮力を落としたり、脇周りの浮力材を減らしてスッキリさせるなどして着心地や機動性を重視したもの。
カヌー、カヤック、ラフティング(川下り)、水上バイクなどのウォータースポーツに見られるような、着水の繰り返しを前提とした救命胴衣。

特にカヤックなど着水を前提にしたウォータースポーツをしている人は、無駄に浮力が大きいと逆に動きにくかったり体の自由が利かなくなるので、これらを明確に分けたがるようです。

ライフジャケット(救命胴衣)のタイプ別分類|国土交通省海事局

http://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk6_000011.html

しかし、国土交通省で法廷備品のライフジャケットとして認定されている浮力の強いもの(浮力7.5 kg以上)でも、PFDと銘打っている商品もあるので、厳密な境界線はないと言えます。